久しぶりの記事である。そして、それ以上に感動と郷愁が入り混じるような出来事もあり、そちらを書きたい気持ちもあるが、先に未完の記事をリリースしよう。
クレジットカード&電子マネーの研究を始めたのは高校2年の頃。2007年。nanacoやWAONが誕生し、同じくこの年に誕生したPASMOはあまりの人気でカード本体が品切れになったなんてニュースも耳にした。まさに「電子マネー元年」のこの年から、俺は勉強そっちのけで研究に没頭した。
そんな経緯を知ってか知らずか、よく「おすすめのカードは何ですか?」と聞かれる。銀行や保険以上にクレジットカードは生活に密着しているため、一概に「これがいいですよ!」と薦めるのは極めて難しい。また種類も多く、改正改悪の動きが激しい業界であるために、常に情報をブラッシュアップしていかないと適切なアドバイスはできない。とは言うものの、ある程度誰にでも薦められるカードというものも存在するわけで、今日はそんな話をしたい。
※最初に断わっておくが、これは2012/02/15地点での情報であり、読む時期によっては事情が変わっているかもしれない。最新の情報は各社サイトでご確認いただきたい。
まず、目的から整理しよう。カードを持つ目的は人それぞれだ。ステータスが欲しい人、単に決済を便利にしたい人、よく行く店で割引を受けたい人、支出を容易に管理したい人、付帯されている保険を使いたい人・・・。俺の場合は、還元額を最大化すること、つまりあらゆるものを少しでも安く買いたいという思いでカードを持っている。
1、還元率に注目!
クレジットカードの最大の醍醐味はポイント。「○○円買ったら○ポイント付く」といった感じで、ポイントカード的に決済を通じてポイントを貯めていき、商品や他のポイントに交換することで利益を得る。この時のレート(還元率)は各カードによって異なってくる。一般的なクレジットカードの場合、平均0.5%くらいだ。200円買ったら1円戻ってくる計算。もちろんこれでも何も利益の無い現金払いよりはマシであるが、せっかくだから高い還元率のカードを狙いたいところ。使う店や特典内容によって異なるが、普通に買い物をした場合で1.0%付けば高還元率と言える。よって、目指す還元率は1.0%以上だ。
2、流動性・交換ハードルに注目!
得たポイントを何に使えるかというところは大事だ。いくら還元率が高くても、自分が使わない店の商品券に変えられたり、ポイントの最低交換単位に達するポイント数を集めるのに費やした金額があまりに高かったりすると、なかなかメリットを得られない。使いやすいポイントに変えることができたり、ポイントではなくそのままキャッシュバックされたり、最低交換単位が低いカードならメリットを得やすい。例えば、1000円で1ポイント付くカードで、10,000ポイント貯まったら交換できます、みたいなカードだとポイント有効期限内(2年が多い)1000万円分消費できないと水の泡となってしまうというわけだ。
3、親和性に注目!
クレジットカードは電子マネーと絡めて使うとトクをする場合が多いので、電子マネーチャージに対応しているカードが望ましい。また、チャージできるだけでなく、チャージに対してもポイントがちゃんと付くカードが望ましい。
以上3点が俺の注目ポイントだ。デザインやステータスは俺は求めていない。
あと、せっかくなので、ETCの話もしておこう。
ETCは御存知の通り、高速道路(有料道路)を通行する時の支払いに使う手段。最近ではETC専用レーンも普及しており、料金所でいちいち立ち止まらずに通過できるようになっている。高速道路料金をETCで支払うためには、車(125cc以上のバイク含む)に取り付けたETC車載器に、クレジットカード会社が発行したETCカードを差し込むことで有効となる。ETCカードを単体で作ることはできず、必ず何かしらのクレジットカードに紐づけ(親子関係と)しなければならない。つまり、ETC利用の請求は、紐づけた(親元の)クレジットカードへ請求されることになる。
ETCのメリットは、単に道路料金の支払いがスムーズになることだけではない。ETC払いと現金払いでは、金額が異なる場面が多いのだ。以下のPDFにまとめられているように、利用区間や時間帯によって大幅な割引を受けられるようになっている。
http://www.go-etc.jp/waribiki/pdf/information.pdf
最近では、レンタカーやカーシェアリングの車にもETC車載器は付いているので、自分のカードさえ持ち込めば利用できる。車を運転する人にとって、ETCカード無しというのはあり得ない。作らないという選択肢は存在しない。それくらい高速料金が違ってくるのだ。アクアラインなど、現金払いだと3,000円、ETCだと800円と、雲泥の差だ。
また、ETCカード共通でのポイント制度「ETCマイレージサービス」というものもあり、登録すれば飛行機のマイルのようにポイントが貯まっていく。この還元率が素晴らしく良くて、50円で1ポイント付与され、100ポイント貯まると200円分として利用できる。つまり、還元率4%だ。クレジットカードではこんな化け物カードは存在しない。ちなみに、後述するETC利用にもカード会社のポイントが付くものを選べば、実質の還元率はもっと高まる。現金払いがいかに損か、これでわかるだろう。
だが、カード会社によっては、ETCカードを作る際に発行手数料を取ったり、年会費を請求する所もある。また、ETC利用においてはカード会社独自のポイントは付けないなどといった所もある。今回俺がピックアップするカードは、その辺のことにも触れる。探せば、手数料/年会費が無料のものや、ちゃんとポイントがついてくるカードも存在するのだ。そういう所で作ればいい。
今回は上の比較表に沿って、8つのカードを紹介する。どれが良いかは自分で判断してほしい。
①ビックカメラSuicaカード(ビューカード)
http://www.jreast.co.jp/card/first/bic/index.html
おなじみ「ビックSuica」。俺がさんざん紹介してきたカード。
実は、このカードは相当改悪され、オススメ度は低くなった。Edyやnanacoチャージに対してのポイントが付与されなくなったのだ。Edyチャージにポイントが付く希少なカードだったので、残念極まりない。とはいえ、やはりSuicaに対しては最強カードであることは言う間でもない。カード式のSuicaに関してもVIEW ALLTEで手続きすればオートチャージが可能になるし、モバイルSuicaもオートチャージ対応。モバイルSuicaの場合、他社カードでチャージを行うと年会費を取られるが、ビューカードなので無料になる。JR東海のEX-ICサービス(東海道新幹線の指定席に安く乗れるサービス)をモバイルSuicaで利用するための手続きをすることが可能なカードでもある。つまり、切符を買わずに、携帯1つで指定席の予約から乗車まで可能になるというわけだ。
こちらも前々から言っている通り、ビューカード発行の中でも、誰でも作れる年会費無料カードはビックSuicaだけ。しかも、Suicaに絡ませれば1.5%還元+ポイントもSuicaにできる高還元率+良流動性の最強カード。これ1枚で全てが片付くとはもう言えないが、持っていて損は無いカードの1つである。
②SBIレギュラーカード(SBIカード)
http://www.sbicard.co.jp/card/regular.html
SBI証券でおなじみのSBIグループのカード。このグループの銀行と証券は俺も愛用していて、素晴らしい金融グループだと思っている。このカードに関しては俺は持っていないが、検討はした。通常では1.0%還元、100万円使うと1.2%還元になる高還元率カード。ここのポイントは商品などと交換ではなく、50万/100万に達するとキャッシュバックされるという方法のみ。非常にわかりやすい。最初のハードルが50万というのはメインカードにしていないとなかなか難しい所がネックだが。カードに付帯されている保険は利用付帯ではあるものの、家族まで補償されるという優れもの。
このカードの最大の特徴は、自由度が高いこと。カード請求の引き落とし日を自分で自由に決められたり、請求金額の払い方も自由に決められる。後者に関してはリボ払いに近いが、もちろん1回払い(手数料無)も可能だし、通常のリボ払いより自由度は高い。カードデザインもシンプルで、素材もこだわっているようだし、メインカードにするなら検討するのも悪くない。
③漢方スタイルクラブカード(JACCS)
http://www.kampostyleclub.com/
数年前からクレジットカード通の間では有名なカード。もちろん、俺も知っていた。薬日本堂という所のカードである。2年目から年会費が有料になるので避けていたが、今回検討してみることにした。
一般的な年会費無料のクレジットカード(還元率0.5%)、今回取り上げているような年会費無料の高還元率カード(還元率1.0%)、そして漢方スタイルクラブカード(還元率1.75%、年会費1,575円)を比べてみた。年間利用額に応じて得になるカードが異なってくる。
年間利用額9万円未満だと、漢方スタイルクラブカードは年会費が足を引っ張る。年間利用額126,000円で一般的な0.5%還元カードに勝つ。そして、年間利用額210,000円を超えると1.0%還元カードよりもさらに得をすることになる。
俺のメイン+サブカードの昨年の年間利用額は約50万。漢方スタイルクラブカードに支払を集中させれば、相当得をする計算になる。カードデザインも高級感あるし、付帯保険も充実している。nanacoチャージにもポイントが付くし、nanaco支払の時のポイントも合わせれば、実質還元率2.75%になる。公共料金や税金関係の支払いをコンビニでする時、通常は現金払いしかできないが、セブンイレブンではnanacoでの支払いも認めている(ただしnanacoポイントはつかない)ため、こちらも1.75%割引で払えるようなものだ。セブンイレブンやイトーヨーカドーのヘビーユーザーは持つべきカード。ネックなのは流動性の悪さくらいか。Jデポという、JACCSのちょっと複雑な還元システムなので慣れるまでは苦労しそうだ。
④auじぶんcard(クレディセゾン)
http://www.jibunbank.co.jp/pc/creditcard/index.html
auユーザーにはかなりオススメのカード。俺はSoftBankとWILLCOMしか使ったことがないのでauの事情がよくわからないが、au(KDDI)関連の支払いやじぶん銀行と組み合わせると相当得をするらしい。じぶん銀行を通じたキャッシュバックもあるが手数料が必要なので、じっくり貯めて機種変更や修理の際にポイントを使うことが賢明だろう。1.0%還元だし、Edyやnanacoチャージにもポイントが付くなど親和性も高い。サブカードとして持っていて良いカードである。ちなみに、発行会社のオススメをあえてクレディセゾンにした理由は、5日20日の西友・LIVINでの5%割引対象カードであるから。永久不滅ポイントはつかないが、じぶんポイントは有効期限は無い。
⑤SoftBankカード(クレディセゾン)
https://www.sbcard.jp/sbc/index.html
④auじぶんcardのSoftBank版だと思えば良い。auのカードと同じ還元率だが、auほど還元率アップの機会には恵まれていない。このカードの最大の魅力はケータイ安心補償かもしれない。このカードで料金の支払いをしている、自分や家族の携帯が壊れた時など最大1万円を受け取れるといったもの。同じくキャッシュバックもあるが手数料が必要なので、じっくり貯めて機種変更や修理の際にポイントを使うことが賢明だろう。1.0%還元だし、Edyやnanacoチャージにもポイントが付くなど親和性も高い。サブカードとして持っていて良いカードである。5日20日の西友・LIVINでの5%割引対象カードである。永久不滅ポイントはつかない。SoftBankマネーは有効期限1年だが、毎月支払い続けることで有効期限がどんどん伸びる仕組みだ。
⑥イオンカードセレクト(イオンクレジットサービス)
http://www.aeon.co.jp/sp_aeoncard/apply/lineup/select.html
還元率は一般的だが、イオン銀行のキャッシュカードやWAON機能と一体化しており、イオン銀行でのサービスが向上するカードである。また、モバイルWAONへのオートチャージができるカードであり、イオンカードの中でもこのカードだけが唯一チャージに対してポイントが付くカードでもある。WAONチャージに対応しているカードがかなり少ないので、お近くにイオン系の店舗があったり、吉野家のヘビーユーザーであったり、イオン銀行を利用する場合はぜひとも持っておきたいカードである。
⑦楽天カード(楽天カード)
http://card.rakuten.co.jp/
最近、高還元率カードの代表がP-Oneカードからこのカードに変わった気がする。通常でも1.0%還元だが、還元率アップの機会がかなり多く設けられているので、利用の仕方によってはさらに得をするカードである。楽天で買い物する場合はもちろん、街中にもポイントが2倍3倍になる店も多い。入会に関するキャンペーンもかなり大々的に打っており、これでかなり得をする人も多い。ただ、同じ会社なのにEdyチャージにはポイントがつかない。また、ETCカードの年会費もとられるので要注意。そうでなければ、ポイントの流動性の良さから考えてみても持って損は無いカードである。
⑧東京メトロTo Me CARD(UCカード)
http://www.to-me-card.jp/
これは番外編。PASMOへのオートチャージをする際に、最も得をするカード。私鉄・地下鉄沿線住民は持つべきカード。実は、PASMOオートチャージ対応カードは他の私鉄各社も発行しているが、他は年会費が有料のカードが多いのだ。また、乗車ポイントがつかない会社もあったりして、よっぽどでない限りご自分の沿線私鉄カードよりも、この東京メトロのカードにした方が得である。紐づけPASMOで東京メトロの路線に乗車した場合乗車ポイントがつき、定期を買った場合も得をする。一般的な使用に関しては還元率は低いので、PASMO関連に特化することがベスト。JR沿線住民はPASMOなど作らず、Suicaで①のカードを上手く活用するのが賢明。PASMOオートチャージ専用カードだ。
以上8枚を紹介した。以前紹介したラインナップとは大きく異なる。貸金業法改正(改悪?)や銀行のカードローンへの積極参入によって厳しい業界であるため、改悪事例が多いのです。できるだけ現金払いをやめカード払いにすれば節約できるし、決済もスムーズ。電子マネーは最低でもEdy、Suica、nanacoくらいは揃えておきたいところ。それも携帯に入れる形で。
iPhoneという日本にそぐわないどうしようもないスマートフォンを持っている輩が多いので、携帯で支払いができない人も多いだろう。そういう人は仕方なくカード型タイプを持つ。その場合でも、オートチャージサービスは検討したい所。残高不足で改札で「ピンポン!」は恥ずかしい。ラッシュ時などは追突事故になり、トラブルの元になる。
比較表を見て、お持ちのカードを整理してみるのもいかがでしょうか?
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