あの頃、俺たちは若かった

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今日、もう日付が変わっているので昨日3日ということになるが、俺の故郷、静岡市では成人式だった。そして、俺の出身中学校、末広中学校の同窓会だった。

成人式の話はあとでしよう。同窓会のことを先に書きたい。

俺はわざわざ今日のために仕込みをしておいた。名刺を作ったのだが、単なる名刺じゃない。メタルの反射する紙を使い、本名ではなく「Davy Fujinami」としての名刺を作ったのだ。

会場はホテルアソシア。静岡駅前のホテルだ。

隣の部屋では大里中学校も同窓会をやっていたため、俺の秀英予備校時代の馬渕校のメンツにも会うことができた。これが、予想もしなかったことで、相当嬉しかったのだ。特に、デビルラインのある登場人物のモデルになった人にも会うことができたし!この話は・・・詳しくするのはやめとくか(笑)要するに、昔好きだった女の子に再会できたということさ。

でも、やっぱり書こう。スッキリしない。
俺の中学時代といったら、二重人格。昼の顔と夜の顔。昼、つまり中学での俺は、かなりの優等生(正確に言えば演じていた)。それなりに勉強はできたし、品行方正、でもおとなしかったかな。余分なことは言わないようにしていたし、鉄の仮面をかぶっていた。部活とか多少それが崩れる場面もあったけど、今の俺から見てもあれはなかなかの演技だった。先生方の中に親戚が2人もいたし、俺も静高へ行きたかったものだから、多少のことは我慢した。

で、夜の顔。週2回見せる予備校での顔。ほとんど大里中で、末広は3人しかいなかったけど、俺はあのクラスの初期メンだったから、デカイ顔していた。ある程度牛耳っていたし、明るい少年だった。残りの末広2人がビックリするくらいの性格の変わりよう。だって、俺、役者だったから、それくらいのことはするよ。

その時によく楽しくしゃべっていたのが、その女の子さ。面白いキャラだった。実は中学にも好きな女の子はいたものの、俺は無謀にも二兎追ったんだね。二兎とも断念したけど。

もう会えないかと思ったけど、再会することができて良かったよ。このセリフ、何年か前にも使ったな。ひょっとして、またどこかで会うかもね。

話は変わって、末広の同窓会。

結論から言う。何が俺にとって収穫だったのか。

Fujinamiとしてではなく、Davyとして会うことができたことだ。
彼らのほとんどは、真面目な俺しか知らない。静高受かってからの緩みの期間は知っていたとしても。
今日の俺のスタイルは、スーツやコートはちゃんと着ているんだけど、下は黒いシャツにいつもの緑のネクタイ。
そして、いつもの青いサングラス。
DavyStyleそのまんま。

通るたびに人が振り返る。
駅で泣く子を黙らせる。
東京じゃフツーの恰好でも、静岡に来ると目立つんだね。
「どこのマフィアだよ!?」「ヤミ金の取立てか!?」
こういう言葉がものすごく快感だった。

ビールも多少飲んだから、それも手伝って態度はデカくなるばかり。
ついつい言っちゃったよ。

「優等生?アホか!俺は3年間演技して騙してきたんじゃー!
 ああでもしないと俺の場合、静高には行けんかったんよ。
 あいつら(先生)をだますなんてチョロイもんよ。
 だけどな、静高行ってから落ちこぼれたんじゃ!
 数学じゃ0点か4点か8点か。で、最後だけまぐれでセンター取って明治行った。
 俺は他の静高行った連中とは違って、勉強なんか大嫌いじゃ、ボケ!」

性格、悪っ!(笑)
でも、本心よ。
他の奴らはやりたいこととかあったり、勉強が好きだったりしたのかもしんないけど、俺はただ目立てれば良かったからさ。いい点数とってチヤホヤされて、静高に入れりゃ良かったんだよね。
あの時の俺は、周りの言われるままに生きるだけ。
だから、静高受かったら、先の未来を描けなくなったんよ。

裁判官?弁護士?
そりゃ、多少は憧れたさ。それは嘘じゃない。
でも、あの場合、ああ言っとくのが1番穏便だったんだ。

俺は、好きな鉄道の夢を眠らせるしかなかったんだよ。

明治行きたいと思った時もそう。
周りの大反対で志望校を早稲田にした、一応。
そりゃ、高校の時はもちろん入りたかったけど、別に明治を捨てる理由なんてなかったし。
そうやって学歴ブランドや偏差値主義にすがって生きていくのって、カッコ悪いと思ったし。
明治のあの気取らない、だけど新しい、個人主義の雰囲気が好きだったのは、紛れもない事実だしさ。
ふてぶてしいようで、なんだかんだ気を使ってきたんだよね。

で、その象徴が中学時代。
もちろん、俺は役者として中学に通ったわけだが、そこでできた友達なり仲間なりとは演技で友達ヅラしていたわけではないしね。そこは、マジだった。マジだから、好きな女の子もいたわけだし。
だから、彼らに何らかの形で伝えなきゃならないと思っていた。

「君たちの思っているFujinamiは、本当の姿じゃないんだよ」って。

それで、今日はDavyとして会うことができたわけだ。
普段話したこともなかったような人とも話すことができたし。
他の静高生と違って、俺の場合、尊敬されないし(笑)

他の静高行った連中は、「頭いいね」とか「スゴイね」とかって見られがちなわけ。
だから、そんなに周りも踏み込んだ発言はしない。

だけど、俺の場合、能力や実績は認めてくれているとしても、人間的には「頭いい」感じじゃない。
怪しい、おかしい、頭の悪い感じ。
だから、今日は皆の中に入っていくことができたんだと思う。

俺は決して「いいヤツ」なんかじゃない。
どっちかといえば、裏で悪いことしてるようなヤツ。
それに、俺自身、カッコつけるけど、どっかにスキマがある。
ガードが緩いのかな。
だから、みんな、散々俺をバカにする。
でも、俺はそれがいいんだ。

俺、静高行ったことは最高だったと思うけど、静高生として見られたくない。
別に人格的に優れてるヤツなんて思われたくない。
「・・・だけど、バカだよね。」
ずっと、そう思われていたいんだよ。
俺、静高生(特に一部のF属出身者)の、そういうお高くとまってる雰囲気が大嫌いだったから。

そういうのが良い意味で払拭できた今日の同窓会は満点だった。

「お前、どうしちゃったの?何があった?」
「バカ野郎、俺は静高に入って落ちこぼれてからこうなったんだよ。それからまぐれで明治入ったけど、俺は数学なんかほとんど0点だったぜ。」

こんな会話を何度したことか。

今やってる活動についてはきちんと話したけど、高校時代の俺の話は包み隠さず、飾らず全部しゃべった。

あ、そうそう。過去の清算も全てできた。
険悪な仲になってしまった友人とも、国交回復!
「あの時、俺たちは若かったよ、ゴメンな。」
ちゃんと言えた。

別に許してやろうとも、許してほしいとも思ったわけじゃない。
でも、もう意地張ってるエネルギーは俺にはないし。
意地張る必要もないし。

これで全部クリアにできた。女関係も、友人関係も。

就職している奴らの話も色々参考になったし、他の大学なり専門学校なり行っている奴らの話も参考になった。

静高生ってさ、自分たちが最高の大学行ってて、自分たちが最も価値があるみたいに誤解している連中も少なくないけどさ、俺は昔からそこの所は絶対そんな風に思わなかった。
職業に貴賤はないし、学校に貴賤はない。
東大行ったヤツが1番偉いのか?
首相になったヤツが1番偉いのか?
大学で学生団体やってます~みたいな奴らが嫌いなのはここ。
「自分たちは高尚な活動をしています」みたいな。

何言ってんだよ?
高校でて、たとえ少ない給料でも必死になって働いてる連中の方が、よっぽど「生きてる」よ。
「俺は今は修行の身だけど、いつかきっと・・・」って言ってるヤツの方が、よっぽど輝いてるよ。
東大が何なの?早稲田が何なの?
法律家が何なの?医者が何なの?
君ら、偉いの?高卒や中卒で今の地点で子供抱えて必死にやってる連中は、「社会の底辺」なの?

っていうか、そうはいっても、静高でも文系クラスはどっちかと言えば末広に近いんだよね。
こういうこと言うのはだいたい理系クラス、申し訳ないけど。
「文系とか楽じゃん」って散々俺たちは言われたからね。
忘れないよ、君らの軽蔑の眼差しは。

今日あった仲間のDavyに対するイメージは壊しちゃいけないなとは思いつつも、ちょっと悪徳商人みたいなキャラでいくのも面白いかもなーって思えてきた。
不動産業って、この俺が言うと、怪しさMAXだよね(笑)
言ってやったよ。
「いつか新聞に載るから、覚えとけ」って。

静岡市内で1番頭が悪いけど、静岡市内で最も性格の良い連中へ。
「何かあったら、俺の所に来いよ。政治の力でもカネの力でも、とりあえず何とかしてやるから。」

さらば青春の光。

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