ベースプロジェクトを進めているが、ここの読者の皆さんも自分のベースについて少しばかり考えてみた人もいるのではないだろうか。
・・・と言うだけ言ってみる。
せっかく鉄道について細々とした、使うか使わんだかわからんような知識があるから、それをここでお示ししようか。これもベース選びの判断材料の1つにしていただければと思う。
まず、知っているとトクする話から。
自宅から勤務先や学校まで通うとき、定期券を作るだろう。正式名称は、定期乗車券。
定期券の特徴は、指定された期間中であれば、指定された区間内の乗り降りがいくらでもできるということだ。一般的な乗車券とは違い、区間内の駅であれば、途中下車もできる。A駅~E駅の定期券を作った場合、途中のB、C、D駅でも乗り降りできるということだ。
この特徴を利用して定期券を作ると結構オイシイ。自宅から勤務先・学校への往復だけでなく、私用の買いものなどでもタダで電車を使うことができる。例えば、俺の場合、亀戸~新宿の定期を持っているから、新宿へいくらでも行き放題なのはもちろん、学校のある御茶ノ水でも乗降できる。秋葉原でヨドバシカメラに行くこともできるし、水道橋で東京ドームやTDCでのコンサートへ行く時も交通費はかからない。このように、区間内の途中駅に利用価値の高い駅があれば最高だ。
東京は、路線網が発達しているため、AからEへ行く場合でも、複数の経路が存在する場合がある。例えば、秋葉原から新宿へ行く際、普通は中央・総武線各駅停車で行くが、山手線を使ってでも行ける。乗車券を買って乗る場合は、自分で好きな経路を選んで乗ればいい。だが、定期券を作る場合、途中駅で乗降できるという特性があるので、経路をどれか1つ指定しなくてはならない。そして、その経路以外の途中駅では乗降することはできない(料金が発生する)。先の例では、中央・総武線経由で行くと定めた場合、山手線で行く場合の途中駅(上野、東京、品川など)では乗降できない。これが、定期券のルールだ。
しかしながら、例外が定められている区間がある。A路線を使ってもB路線を使っても良い、つまり、A路線の途中駅でもB路線の途中駅でも乗降可能という区間が存在する。その分だけ、利用できる駅が増える。これは相当お得な話だ。では、具体的な区間を紹介しよう。
地図を作ったが、実際の定期券では赤い線の区間が券面に記載されることになる。実際の利用においては、2色の路線両方使えるため問題ない。
<JR規約>
http://www.jreast.co.jp/ryokaku/02_hen/03_syo/01_setsu/03.html
1.赤羽以遠(尾久、東十条又は十条方面)の各駅と、大宮以遠(土呂、宮原又は日進方面)の各駅との相互間
http://g.co/maps/u9by4
この区間は、東北本線(宇都宮線・高崎線・湘南新宿ライン・京浜東北線)と埼京線のどちらを使ってもOKという区間だ。赤羽から大宮へ行くのに、どちらの路線を使っても行ける。埼京線側には武蔵浦和、戸田などの駅があり、東北本線側には浦和、さいたま新都心、川口などの駅がある。もし、北与野駅から赤羽以南の駅への区間の定期を作るなら、大宮から作るべきだろう。北与野とさいたま新都心は目と鼻の先なので、両方利用できた方が便利だろう。
2.品川以遠(田町又は大崎方面)の各駅と、鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間
http://g.co/maps/vdgbd
規約には上記のように書いてあるが、実際には品川~横浜の区間が該当する。東海道線(+京浜東北線)と横須賀線(湘南新宿ライン)の両方を使える区間だが、後者には鶴見駅は存在しないので。東海道線側には、川崎、蒲田、大森、大井町駅があり、横須賀線側には新川崎、西大井駅がある。なかなか後者の方を利用することはないだろうが・・・。
3.東京以遠(有楽町又は神田方面)の各駅と、蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅との相互間
http://g.co/maps/7sqzy
この規約のメリットを最も享受できるのは、このパターンだろう。千葉~東京の定期を作るなら、総武本線・成田線方面からでないなら、蘇我から作るべきだろう。このパターンでは総武線と京葉線を利用できる。総武線には千葉、津田沼、船橋、西船橋、錦糸町、新日本橋などがあり、京葉線側には、千葉みなと、海浜幕張、南船橋、舞浜、新木場などがある。両方の路線沿線には巨大商業施設があるため、この2線両方使える定期を持てばショッピングに大変有利だ。また、両路線の東京駅の位置が大きく異なるため、乗換状況などに応じて使い分ければ良いだろう。
4.日暮里以遠(鶯谷又は三河島方面)の各駅と、 赤羽以遠(川口、北赤羽又は十条方面)の各駅との相互間
ここからは、よその地域ではなかなかわからないリスクの話をしよう。
首都圏では他社線や他路線に乗り入れている路線が多いが、人身事故やトラブルが発生した場合、乗り入れを中止する場合がある。その「乗り入れ中止」だが、中止になりやすい路線となりにくい路線がある。ここでは、乗り入れ中止になりやすい路線を取り上げよう。
・水色「寸足らずの川」
JR中央・総武線の「三鷹~中野」と「西船橋~津田沼」。ここには、東京メトロ東西線が乗り入れる。西船橋側は平日の朝夕のみだが、中野側は平日も休日も終日乗り入れる。西船橋側においては、乗り入れてる本数はわずかなので、乗り入れ中止でもさほど影響はない。だが、問題は中野側だ。この「中野~三鷹」間において、この乗り入れしている東西線は、中央・総武線各駅停車の役割を担っている。従来の中央・総武線各駅停車(黄色の電車)と同じくらい~半分の本数、東西線からの乗り入れ電車(水色の電車)が乗り入れている。そのため、乗り入れ中止になってしまうと、この区間の本数が一気に半減してしまう。特に休日は、中央線快速は高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪は通過となる。休日に乗り入れ中止となってしまうと、平日に比べ利用できる本数が圧倒的に少なくなってしまう。
不幸なことに、中央線・総武線は人身事故などのトラブルが多い路線である。また、東西線もトラブルが多い上に、地上区間は海の近くを走っている影響で、荒川の鉄橋付近の強風により運転見合わせとなるケースも少なくない。よって、「寸足らず」の被害を受けやすい。時刻表だけ見て「三鷹~中野」を選ぶのは危険である。
・紫色「トカゲのしっぽ切り」
東武伊勢崎線の押上~曳舟の話である。東武伊勢崎線・東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線の3路線が相互乗り入れしているが、伊勢崎線は仲間外れである。というのも、半蔵門線と田園都市線は運命共同体のため、トラブルが起きても、なかなかここで手を切ることはない。だが、伊勢崎線は「お荷物」扱いされがちで、田園都市線で発生したトラブルでも、伊勢崎線部分だけ乗り入れ中止となることがよくある。乗り入れ中止でも、終点駅で乗り換えできればいい。だが、ここの区間は乗換できない。半蔵門線から伊勢崎線の方へ行くには、押上駅から徒歩で業平橋駅に向かうか、もっと手前の大手町駅で千代田線に乗換、北千住駅を目指さなくてはならなくなる。半蔵門線に乗り入れる伊勢崎線の電車はすべて10両かつ急行電車であるが、伊勢崎線の浅草駅は10両の電車を受け入れることができないので、急行電車はすべて北千住折り返しになるパターンが多い。非常に厄介なことになるのだ。伊勢崎線自身も濃霧などのトラブルが多少あるが、乗り入れ先の東急田園都市線がトラブルが多いので、その被害を受けることが多い。トカゲのしっぽ切りでダイヤの乱れを少なくするはずが、かえって乗客に不便を強いているのも事実なのである。
・オレンジ色「ネズミの門前払い」
武蔵野線(京葉線)の「西船橋~南船橋」「西船橋~新浦安」の区間のお話だ。武蔵野線は京葉線に乗り入れて、東京駅まで向かう。武蔵野線の乗り入れ電車は「武蔵野快速」となり、京葉線内は快速運転となる。だが、どちらかでトラブルがあると、乗り入れ中止となり、上記の区間は全く往来ができない状態になる。東京まで行くはずの武蔵野線は、ディズニーランドのある舞浜を通ることなく、西船橋で折り返し運転となることがある。京葉線沿線側から総武線沿線側へ行くことができなくなってしまうのだ。京葉線は海側を走るため、強風の影響で運転見合わせとなることが少なくない。その影響を武蔵野線が受けることになる。ちなみに、そうなると、振替輸送を受け入れる総武線がかなり混雑するのだが・・・。
・茶色「大動脈の血栓」
東京メトロ有楽町線・副都心線の「池袋~小竹向原」。ここはかなり複雑で、この2路線に加え、西武池袋線、東武東上線からの乗り入れ電車が入る。4路線を抱えた区間だ。さらに、来年からは、副都心線に東急東横線が乗り入れるため、5路線を抱えることになる。まさに、「大動脈」である。よって、ここに乗り入れる電車のいずれかでトラブルが発生すればその影響はかなり広範囲に広がるし、この区間内で起きてしまったら、5路線一気にアウトになる。それだけリスク含みの区間であるということだ。
以上のように、なかなかよそからは気づけないリスクを抱えた箇所が存在する。これらを知っておくと良いだろう。
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