情報革命

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ここの所、テレビや新聞のニュースを見ていないな~とつくづく思う。特に避けているわけではない。意識的に見ようとしないのだ。テレビはHDDに録画しておいた、行列や深イイ話やAKBINGOなどの番組を見るくらいになったし、俺は大手新聞は購読していない。Yahooトピックスを見ればだいたいの情報が入ってくるが、ニュースの内容はなんとなく予想できる。小向美奈子の逃亡劇!とか、大相撲八百長問題に斬りこんでみる!とか、日ハム佑ちゃんの今日は?とか、思わず「あっそ。」と言いたくなるようなトピックばかりが前面に出て、エジプトとかの話は最後に少しやる程度ではないか。

この前、名古屋で嵐が起きた。名古屋市長選、愛知県知事選、名古屋市議会解散の賛否を問う住民投票のトリプル選挙があった。結果はご存知だろうが、いわゆる河村派の大勝利であった。河村氏は「減税日本」という地域政党を立ち上げていて、自民党や民主党などの既存政党が推薦する候補を破った。翌日の新聞。この選挙に関する解説が載っている。「既存政党に対する不信感の表れではないか」。なるほど、俺もそう思う。いいだろう。ところが、民主党の敗因を書いてある文を読むと、「小沢氏の政治とカネの問題が・・・」と書いてある。おいおい、待ってくれよ。っていうか、いつの話だよ!?って感じ。今回の敗因の1つに、「政治とカネ」の問題があったんだってさ(笑)笑っちまうぜ。

日本には、我が国特有の「記者クラブ制度」がある。官房長官とか大臣とか、会見場で記者会見をやるだろう?会場に入れる記者の方々、彼らは「記者クラブ」というものに入っている。つまり、テレビ局や大手新聞などのメディアの記者しか入れないことになっている。これは法律でも何でもない。政府が決めていることですらない。記者クラブ自身が決めているのだ。つまり、フリーで活動する人間とかネットメディアの記者とかを、会見場に入れて質問させるようなことはしない。仲間外れにしているのだ。

報道・メディアというものは、権力を監視する役割を担っている。つまり、政府とかそういう権力者のことが不正をしたり悪いことしたりすれば、それを国民に知らせる存在であるということだ。しかしながら、記者クラブメディアは、権力側と癒着し、権力側から情報をもらい、権力側に都合の良い情報しか流さない。だから、例えば、検察が「小沢一郎を潰したい」と思ったら、記者クラブメディアは「小沢は悪いヤツだ!」という情報ばかりを流す。そうやって、世論を作っていく。で、「世論調査」なるものを行って、いかにもそれは民意、つまり国民みんなの意見だということにすりかえてしまう。これが、「世論調査は世論操作」と言われる所以だ。

記者クラブ制度で囲って新しいメディアを入れないから、どのテレビを見てもどの新聞を見ても、同じような内容のことばかり報道される。だから、テレビや新聞がつまらない。つまらないだけならまだいいが、本当に流されるべき情報が流れず、どうでもいい情報ばかり何回も何回も繰り返して報道される。

経済学を少しかじったことのある人ならば、「独占・寡占市場の弊害」についてはよくご存知だろう。あれに置き換えてもらえばいい。もっとわかりやすく言うならば、川の水は常に流れているから、基本的にはキレイな水となっている。しかし、どこかで流れをせきとめ、水がずっと同じ所にとどまると、水は汚れ、よどみ、コケが生えてくるようになる。人間もそうで、色んな競争相手がいたり、多様な考え方を持つ人と交流することで、人生はより豊かなものになる。ここまで言えば、俺が何を言いたいか、おわかりだろう。記者クラブというもので囲っていては、報道がだんだん廃れてくるというものだ。

フリージャーナリストの上杉隆さんは、ずっと前から、記者クラブ解放を求めて運動している。しかし、それでも聞き入れてもらえないため、先日、「自由報道協会」というものを立ち上げた。会見場に入れないなら、自分たちで誰でも自由に取材できる記者会見の場を作ってしまおうということである。そして、先日、その記者会見が行われた。第0回目のゲストが小沢一郎さん。第1回目のゲストが堀江貴文さん。第2回目のゲストが離党を菅首相に勧告されたばかりの小沢一郎さん。記者クラブメディアでは、「悪者」として報じられている人が会見をした。

ここまでなら、単なる記者会見なのだが、すごく画期的なことが起こったのである。ニコニコ生放送やUstreamなどのインターネットの生放送の媒体が、記者会見の一部始終をすべて生で流したのである。以前、佐藤栄作首相が記者会見をするとき、「偏向報道をする新聞記者は出て行ってくれ」と言って新聞記者を排除してテレビカメラと取材陣だけを残して、会見を行った。つまり、新聞だと、自分の発言が新聞社の都合のいいように、ある部分だけしか使われないため、真意が伝わらないばかりか、事実をねじまげられてしまうと思い、テレビの生中継を選んだのだ。それと似たようなことが今回起きたのだ。テレビだと編集されて都合のいいところばかり使われてしまう。生中継していても、都合が悪くなるとスタジオに戻して中継を打ち切ってしまう。だからこそ、インターネットで一部始終を生放送すれば、自分の言いたいことが全部伝わる。そして、アーカイブとして残しておけば、いつでも誰でも見られるような環境になるため、仮に間違った情報が特定のメディアによって伝えられたとしても、その元映像を確認することができる。

広島の秋葉市長も、自分の退任会見をテレビではなく、Youtubeにアップして流した。これも同じ理由である。つまり、ネットだと本人の真意や真実が伝わりやすいということである。

もちろん、記者クラブメディアが間違っていて、フリーやネットのジャーナリストが正しいなどと言うつもりはない。どちらも正しい情報を流すし、どちらも間違った情報を流す。しかし、今までは、「新聞やテレビの言うことは正しい」と記者クラブメディアを絶対視する風潮があった。だから、「小沢や堀江は悪」ということになってしまった。しかし、本人の話を最初から最後までしっかり聞けば、決してそんな善悪二元論では片付けられないはずだ。もちろん、一部始終を聞いても「気に食わん」という人もいるだろう。それはそれでいい。それも含めて、ジャッジを我々個人に委ねられている時代なのだ。メディアが善悪を決めるんじゃない。俺たちが、自分の頭で判断して決めるんだ。今はそういう時代だ。

そういうことができるようになったことが、ネットのすごさだ。もちろん、ニコ生やUstreamもその役割を担っているが、たった140文字のTwitterも十分その役割を担っている。Twitter上には記者クラブメディアで流れないような情報が多く飛び交う。もちろん、すべてが信用に値するものではない。しかし、記者クラブメディアが報じない様々な見方を我々に提供してくれる。また、我々自身も発信者として、様々な見方を自分のフォロワーたちに提供する。これがTwitterの長所だ。そういうことが重なると、チュニジアやエジプトのように、Twitterを発端として、独裁政権を市民が倒すということにもつながる。マスメディアだけの時代では、決してあり得なかったことだ。

俺も、日々、Twitter上で様々な情報を受け取りながら、自分のフォロワーたちに、俺の感性に合ったもの、俺が正しいと思う情報をリツイートして紹介している。俺は、誰かのフィルターに通された情報ではなく、俺なりの「真実」を見つけたい。そして、それを1人でも多くの人に伝えていきたい。そういう信念のもとでTwitterを利用している。決して友人とのコミュニケーションツールだけではないということだ。

実は、こういうネットのジャーナリズムの発展の中で、もう1つ発展というか復興したものがある。ラジオだ。
ラジオの復活はradikoができたことによるものが大きいが、ツールだけできても人は食いつかない。俺みたいな、これまでラジオを聴かなかった層がラジオを聴くようになるには、コンテンツが充実していないといけない。ラジオはこれがあったのだ。

ラジオも記者クラブに加入している所もある。しかし、ここでは、記者クラブみたいな情報統制はしない。テレビや新聞ではタブーとされている人物もどんどん出演させ、意見を述べさせる。しかも、テレビなどよりももっと過激な感じで。ここがウケたのだ。

俺が毎日朝の通勤時に録音したものを聴いている、TOKYO FMの「TIME LINE」。ニュースプログラムで前日のニュースを振り返られるのだが、テレビがやっているようなくだらない話題は扱わない。コメンテーターの方々が、様々な見方を提供してくれる。また、普段なかなか気付かないことにも焦点を当て、放送してくれる。また、Podcastで聴いている「オン・ザ・ウェイ・ジャーナル」。コメンテーターが好き勝手にしゃべり、最近の時事問題をもとに独自の見解を述べる。これも面白いし、興味深い。そして、TOKYO FMの「伝説の人事部長」。Podcastでも聴けるのだが、綺麗事ではない、就職活動の裏の話まで聞ける番組。これもいい。

ラジオは、テレビに比べて影響力が少ない分、ニッチな部分にまで手が届く番組が多い。つまり大衆迎合的なものではなく、もう少し奥に迫ったものが多い。だから、面白いのだ。テレビをHDDに録画して見るように、ラジオもradikoを通じて録音して、iPodなどで聴ける。Podcastは録音せずに、ファイルだけダウンロードすれば聴ける。情報は手の届く所に存在するのだ。

情報化社会は、いかに情報を自分独自のフィルターで取捨選択し、自分にとって有用なものを選べるか。そして、いかに社会の裏の構造に気付き、真実を掴みとれるか。これが勝負だと思う。俺も日々勉強。机に向かわない勉強。この読者には、「情報難民」になってほしくないためこの記事を書いた。頑張っていただきたい。

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