俺だけの「Boy’s Life」

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『世界中の誰よりもきっと
何もかも なっちゃいないけど もう
愛しくて せつなくて 汚れてゆく
ひとりぼっち 気取ってるLonely
心 ろくなもんじゃない Oh Oh… Boy’s Life』

帰り道、いつもと違う駅に降り立った。
初夏を迎えようとしている空は、夕方でもまだまだ明るい。
雑踏の中、人ごみをかき分け歩く俺は、その恰好が私服だろうがスーツだろうが、変わりはなかった。

「言いたいヤツには言わせとけ。それが俺のやり方だ。」

こんな捨て台詞を吐き捨て、スクランブル交差点というカオスに消えていく俺は、あの男の姿を思い浮かべた。

『自由じゃなきゃ、意味がねーんだよ!
お前ら本当に自由か?
腐った街に埋もれていくなよ。
俺たちが何とかしなけりゃよ、
なんにもなんねーんだよ。』

尾崎豊。俺の高校時代の憧れの存在。
窓ガラスを割るとか、バイクを盗むとか、そんなんじゃないんだ。
規制やしがらみ、勝手な思い込みといった雑踏の中の人ごみをかき分け、本物の自由にたどり着こうと必死にあがき続ける姿に共感を覚えたんだ。
それが、アイツが闘っていた理由だよ。ビッグバンによって生まれたアイツが探し続けていたものなんだ。

他人のものさしだけを基準にして生きているヤツがいる。
俺はそいつを心の底からかわいそうだと思ったんだ。
ああ、この人は何も手に入れずにここまできたんだな、と。
他人事とは思えない。俺もあのままいったらそうなっていたかもしれない。

なぜ、俺はそうならなかったか?
人生を大きく左右するターニングポイントを迎えた時、誰に従ったわけでもない、自分の美学ってヤツに従ったからなんだよ。
誰もが「もったいない!」と口を揃える中、俺は天国行きのプラチナチケットを捨てたんだ。
その代わり、愛と友情に生きた。
自分から「愚か者」になる道を選んだんだ。

愛は手に入らなかったが、それでも良かった。
初めてだったかな、あそこまで大きなレジスタンスをしたのは。
快感だった。自ら地獄に落ちる瞬間が。
もっとも、俺は地獄なんてこれっぽっちも思っちゃいないけどね。
こうやって、少しずつ少しずつ、自分だけの「ものさし」ってヤツを創り続けてきたんだ。
誰の手でもない、俺の手でジャッジを下すんだ。
誰に何と言われようと、俺は俺なりの美学を貫いてみせる。
それが、俺がこれまでの戦いで学んできたことなんだ。

意外とこういう基本的なものって見失うもんなんですよ。
俺自身、昨夜まで若干忘れかけていた。
だからこそ、戒めのためにも、もう一度書いてみた。

こんなの読んでもしょうがないって?
いいんじゃない?読むのやめれば。
俺は頭下げてまで読んで欲しいとなんて思わない。

「ファンを大事にする」ってのを勘違いしている輩が多い。
大事にするってのは、おもねることじゃないんだ。
ファンが神様なんて、冗談じゃない。

俺は俺のやりたいようにやる。
それに興味があるヤツは、こっそりついてくればいい。
俺はそうやってこっそりついてくるヤツのことも、ちゃんと見ている。
で、しばらくした時に振り返って話しかける。
君たちが俺のことをわかろうとしてくれた分、いやそれ以上に君たちのことをわかろうとする。
君たちが俺を愛してくれた以上に、俺も君たちのことを愛す。
だけど、言うことを聞くつもりはない。俺は俺の歩きたいように歩く。
ついて来れるんだったら、またこっそりついてくればいい。
Davyの話ではなく、アーティストとファンの理想の関係。

誰もついてこなくても構わない。
いつも通り、1人で勝手に好きなように歩くだけ。
1人の時は、1人を楽しめばいい。
誰かについてきてほしいからって、後ろをキョロキョロ振り返りながら歩く男にはなりたくない。

ファンを「楽しませてあげよう」なんて思わない。
そんなこと言い出したら、古くからの俺のファンは怒るだろう。
Davyというアトラクションで、勝手に楽しめばいい。
俺は、俺が楽しめるようなものをおすそわけとして提供する。
それを好きに使ってほしい。役に立つなら生かしてほしい。
でも、ただのおすそ分けじゃないよ。
そこには、ちゃんとそれを受け取る人に向けての愛が詰まっている。
意味があるんだ、何事も。

俺と同じだけど色違いのヘルメットを発注してみた。
誰かを後ろに乗せて、素敵な場所へクルージングしてみたいと思った。
外でも夜景を落ち着いてみられる季節になったことだし。
そろそろどこかで花火も打ちあがるだろうし。
俺の背中で、風が走り抜けていく瞬間を楽しんでくれたらいい。
俺は横風にレジスタンスしながら、後ろにいる君を守るから。
何があっても、倒されないように。

明日も、サイコロ転がして、旅に出よう。
きっと、晴れた青空が、俺たちを包んでくれるから。

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