30代へのパスポート

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今月は、先月よりも幸せだ。
そう胸を張って言える。
自分が本当に欲しかったものがだんだんわかりかけてきたってやつかな。

コールセンターでのバイトを始めて1ヶ月半が経とうとしている。
守秘義務があるため詳しくは書けないが、某保険会社の資料請求の受付や問い合わせに答える受信オペレーターである。
保険商品について細かい部分まで勉強したり、生命保険募集人資格を取ったり、端末へのデータ入力について学んだり。初めはどうなるかと思ったが、1つずつクリアし、今日で研修期間が終了した。来週からは、時給も上がり、研修の立場ではなくなる。

そんな研修最終日の出来事。とある年配のお客様が問い合わせの電話をしてきた。俺はいつも通りの受け答えで対応していた。お客様は「あんたは丁寧な人や」と褒めて下さり、名前をもう一度聞かれ大変満足してくださった。いい話だ。良い気分で通話を終了することができた。
端末への入力を終え、俺は10分休憩に出た。休憩から戻ると、何やら慌ただしい感じになっている。すると、上司が「Fujinami君、さっきのお客様がどうしてもFujinami君を出してほしいと言ってきてるんだけど・・・」と。隣を見ると少々困惑した状態の同僚のオペレーターが。別に、俺も同僚も同じ研修生。そんなに知識もないし、どうせ転送するならベテランの既存の方に回した方がいいはずだ。だが、お客様はどうしても俺を出せとのことらしいのだ。

「ヤベー、クレーム??」と思いながら恐る恐る回された電話に出ると、先ほどのお客様の明るい声が。「待っとったんや」と。それでようやく状況を理解した。嬉しいご指名だった。20分くらいの長電話。俺はいつも以上に丁寧に説明した。お客様がこれから考えるであろうことを先回りして察知し、こちらから投げかけるようなこともした。そんな感じで、さっきよりも満足した状態で、「こんなに丁寧にやってくれるなら、あんたの所で契約したいわ」と言って下さった。「Fujinami君、覚えとくよ」とも。本当に感動したね。いいお客様で良かったと。俺は大したことしてないのに。

でも、今回書きたい記事の話は、「褒められて嬉しかった」の類の話ではない。そんなことは小学生レベル。就活中、若手社員から聞いた「お客様に『ありがとう』って言ってもらえることが私のやりがいです」なんて低レベルな話をするつもりはない。

これをきっかけに色々考えたんだ。そして、学んだ。
まず、「いい仕事」って何だろう?ってね。技術がある、知識が豊富、笑顔の応対・・・色々あるかもしれない。でも、それらに共通すること、そしてそれらを上回るものは「丁寧さ」じゃないかと思うんだ。俺はこんな性格だし、細かい所まで配慮できる人間じゃない。器用にこなせる人間じゃない。でも、1つ1つの動作を「丁寧に」やっていけば、少しは「いい仕事」に近づくんじゃないかと思えてくる。丁寧ということは、いい加減と逆のこと。つまり、一挙手一投足に「意識」を持つこと。相手の立場になって物事を考えること。それらを心掛けるだけでも違ってくるかもしれない。

俺は、何か買う時、「いいもの」にこだわっている。品質の高いもの、心のこもったもの、こだわりを感じられるもの・・・。だったら、自分が供給側に立った時も、お客様に「いいもの」をお届けすべきじゃない?もちろん、ベテランの方には敵わないけど、ベテランの方々や上司からたくさん「いいもの」を吸収して、それを活かして、丁寧さを心掛ける。技術が伴わない分、心遣いでカバーする。そうやっていけばいいんだな、と今日のことから学ぶことができた。

そして。先月よりも今月の方が幸せだと言った理由にもつながるが、自分の生き方のヒントが見えてきた。先月の自分が恥ずかしくなった。
結果を出すことばかりにこだわってたんだよね。誰かに評価してもらいたい、好きになってもらいたい、注目していてもらいたい、と。それで、普段の自分を見失って空回りしていた。
そうじゃないだろ。結果なんてどうでもいい。評価はあとからついてくるもの。目の前のことに全力を注ぐことだけに集中しよう。目の前のことを1つ1つ丁寧にこなしていこう。
俺は不器用な男だ。器用なヤツと同じようにはいかない。だとすれば、人一倍、専心と勤勉と丁寧さにこだわらなければならない。不器用だけど、真っ直ぐな男。これが俺の目指していた姿じゃないか。だったら、それを貫けよ。

「30代のパスポートは、20代を必死に頑張らないともらえないよ」
永ちゃんか誰かがそう言っていた。俺が20代のパスポートを手にできたのは、10代を必死に生きたから。真っ直ぐな気持ちで、色んなものにぶつかってきたから。だから、今の生活が手に入った。20代、俺は目の前のことを丁寧に遂行することだけに集中して、結果にはこだわらずにフォームにこだわる年代にしたい。
それと、俺が欲しかったものもわかった。俺が欲しかったのは、彼女じゃない。努力できる心だったんだ。
女の子にいい顔しようだとか、アドレス聞いて食事に誘おうだとか、そんなチープな気持ちでいたことが本当に情けないよ。それこそ、結果だけにこだわってる人生じゃないか。そんなチープな男に成り下がっていたなんて、情けなくて泣きたいよ。俺の目指している姿と違いすぎる。
あと原則論。評価は他人が勝手にするもの。こちらが積極的に求めていくものじゃない。
一生懸命な姿を見て評価してくれる人がいれば、それは嬉しい。でも、評価されたいがために一生懸命やるのは違う。

今までのことを振り返ってみろ。友達から感謝されることが増えた。でも、それは友達からの感謝を得たいから貢献したものじゃないはずだ。目の前のことに、夢中になっていただけなんだ。仕事でも女性関係でもそれと同じでいいじゃないか。結果には無頓着、姿勢にはこだわる。それが、Davyじゃないの??

今日の指名劇は、俺にそういうことを考えさせてくれた。だから、本当に嬉しい。感謝している。
俺は、褒められたから嬉しいで終わる低レベルじゃないんだ。

俺には彼女なんていらないよ。結婚なんかしなくていい。
でも・・・もし、ついていきたいと思ってくれるならば、俺の一歩後ろをこっそりついてきてくれるかな?
この男は後ろを振り返らないけどさ。
どっちでもいい。俺は前だけしか見てないから、後ろに人がいようがいるまいが構わん。我が道を行くだけだ。
俺は他人の動向を気にして生きていけるほど器用じゃない。目の前のことで頭がいっぱいだ。
だから、喜ばせようともしないし、甘い台詞を吐くこともない。
それでいいなら、こっそり俺にバレないように、ついておいで。
俺の恋愛スタンスはこれでいい。自分からはアドレスは聞かないし、どうこうしようだとかは考えない。

生き方が定まった。あとは前に足を進めるだけ。
素敵な人に囲まれて、俺は本当に幸せです。

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